NEDO・13法人
「柏Ⅱプラットフォーム」構築!
NEDOが2016年度から2020年度まで実施中のプロジェクト「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」で開発された最先端のレーザー光源や加工機を集約し、東京大学、産業技術総合研究所、三菱電機(株)、スペクトロニクス(株)、大阪大学、浜松ホトニクス(株)、パナソニック(株)、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ(株)、(株)金門光波、千葉工業大学、(公財)レーザー技術総合研究所、ギガフォトン(株)、(株)島津製作所は、このほど各装置が持つ加工品質の計測・評価技術やデータベースといった共通基盤技術を組み合わせることで、レーザー加工の課題解決に寄与するプラットフォーム「柏Ⅱプラットフォーム」を構築した。
加工ユーザーは同プロジェクトで開発された最先端のレーザー光源やレーザー加工機を容易に利用できるほか、集約されたレーザー技術と共通基盤技術、データベースの効果や適用可能性などを検証することができる。

NEDOと13法人は今後、レーザー加工に関する産学官協創のために東京大学が設立した「TACMIコンソーシアム」と連携し、さまざまな材質、用途での加工事例を蓄積していくことで、プラットフォームの機能向上に取り組んでいく。これにより各種装置の特性とユーザーニーズの効率的なマッチングや装置横断的な加工データ取得を実現し、効率的かつ迅速な最適加工条件の探索が可能なモノづくりの実現を目指すとともに、日本の競争力強化に貢献する。

■「柏Ⅱプラットフォーム」概要
モノづくり現場では電子回路基板用ガラスへの微細貫通穴あけのような、情報通信機器向け部品や医療機器部品のマイクロ加工といった高品質かつ微細な加工や、炭素繊維強化プラスチックなど難加工材料への加工が依頼が増えている。
従来の機械加工では不可能だった微細な加工ができるレーザー加工の重要性が高まっており、将来的には加工機のクラウド連携やスマート化が進むと見込まれる中で、デジタル制御と親和性が高いレーザー加工システムは日本のものづくりにおける最重要ツールの一つになると期待されている。
しかし現在、モノづくり現場で広く用いられている切断や穴あけ、溶接、接合といったレーザー加工技術は電気効率や加工効率が低く、加工精度の観点でも多くの改善すべき点が挙げられている。
また、加工対象物によって異なる最適な加工条件は、熟練作業者の経験と勘を頼りに選択されているという課題も抱えている。
このため日本がモノづくりで今後も高い競争力を保持していくためには、高輝度で高効率な実用性の高いレーザー装置と加工機の開発と、すべてのユーザーが加工目的に合わせて最適な加工条件を選択できるようにする仕組みの確立が求められている。

こうした中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2016年度から2020年度の期間で実施しているプロジェクト「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」※1の中で、微細な加工が可能な高品位レーザー加工機や表面改質を可能とする高品質レーザー、さらに金属加工を効率的に行うことができる短波長レーザーなどのレーザー光源および加工機の開発を進めてきた。
また、効率的な加工を可能にする条件を実験的手法と理論的考察の組み合わせによって引き出すことを目指し、TACMIコンソーシアムと連携してさまざまな加工条件における加工特性評価やデータ取得・データベース化を行ってきた。

そして今回、国立大学法人東京大学と国立研究開発法人産業技術総合研究所、三菱電機株式会社、スペクトロニクス株式会社、国立大学法人大阪大学、浜松ホトニクス株式会社、パナソニック株式会社、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ株式会社、株式会社金門光波、学校法人千葉工業大学、公益財団法人レーザー技術総合研究所、ギガフォトン株式会社、株式会社島津製作所は、同プロジェクト内の研究開発テーマの一つである「最適条件を導くレーザー加工プラットフォームの構築」に基づき、最先
端のレーザー光源や加工機・加工技術を集約し、各装置の品質評価や計測技術といった共通基盤技術、さらに実加工事例をデータベース化した開発成果を組み合わせることで、レーザー加工に関する産学官協創の場としてのプラットフォーム「柏Ⅱプラットフォーム」を構築した。
加工ユーザーは、同プロジェクトで開発された最先端のレーザー光源やレーザー加工機を容易に利用できるだけでなく、集約されたレーザー技術と共通基盤技術およびデータベースの効果や適用可能性を検証することができる。

■今回の成果
●「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」(2016年度~2020年度)の成果。
NEDOプロジェクトとして、さまざまな特徴を持つ、最先端のレーザー光源・加工機を開発してきました。
特に、難加工材の高品位加工を目指した今までにない短波長の高輝度レーザー加工機や、広範囲の焼き入れ加工などを可能とする高出力半導体レーザー、銅のマイクロ溶接などで期待される高出力高輝度青色半導体レーザー、加工や計測用途に期待される短波長ファイバーレーザーは同プロジェクトで新たに開発した技術として、想定される用途での早期実用化を進めるとともに、このたび構築した加工プラットフォームで幅広くユーザーを掘り起こしていく予定。
●最適条件を導くレーザー加工プラットフォームの構築。
同プロジェクトで開発したレーザー光源や加工機を東京大学柏IIキャンパスおよび産業技術総合研究所柏センター内の柏IIプラットフォームに集約し、各業界のユーザーによるテストユースを進めている。
まずは最適な加工条件を引き出すため、さまざまな材料を対象とした試験加工を行い、産業界と共有できるデータの集積を開始しました。柏Ⅱプラットフォームに集約した加工機の特徴は別紙を参照。

■今後の予定
柏Ⅱプラットフォームに集約したレーザー光源や加工機は、本プロジェクト終了後もTACMIコンソーシアムの枠組みを活用して運営する予定。ユーザーによるテストユースをさらに積み上げることで装置横断的な加工データ取得やユーザーニーズの把握を進めるとともに、データベースを拡充し産業界における顕在ニーズへの対応から潜在ニーズの掘り起こしまで、さまざまな課題解決の糸口となることを目指していく。
さらに本プラットフォームでのレーザー加工条件の探索結果を元にして、最適なレーザー加工機の産業への導入を促進することで、日本のモノづくりにおける競争力強化に貢献する。

■プロジェクト5年間の成果報告会
名 称 :「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」成果報告会
日 程 : 2021年2月26日(金) 13:15~16:30
開催方法 :Webexによるオンライン開催
詳細は、成果報告会イベントページ参照。
成果報告会HPhttps://www.cho-monodzukuri.jp/event/show/id/ksjasg5m6a

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