日立建機
加藤組と建設機械の
遠隔操縦実証実験!
加藤組と日立建機日本、西尾レントオールは、2月26日から3月5日、広島県広島市西区太田川放水路河川敷において、5G(第5世代移動通信システム)を活用して油圧ショベル、ブルドーザ、土工用振動ローラの3種類の建設機械を使用して、遠隔操縦の実証実験を開始する。
今回は、全体統括を加藤組、ブルドーザへの遠隔操縦ユニットの搭載および土工用振動ローラへの遠隔操縦ユニット「ERC」の搭載を西尾レントオール、油圧ショベルへの遠隔操縦装置の搭載、AR技術導入と建設機械3機種からの映像伝送システムの構築を日立建機日本が担当する。
実験は、内閣府が2018年度に創設した「官民研究開発投資拡大プログラム」(PRISM)の枠組みで、国土交通省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に選定された取り組みの一環として実施する。

日本の建設業界は少子高齢化による労働力不足で、2030年までに建設業就労者は2005年比約44%減少する見通しで、技能伝承の困難と、新規就労者の確保が課題となっている。
国土交通省は、これらの課題解決に向けて、ICTなどを活用して建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」を推進している。
また、災害現場では、建設機械のオペレータの安全確保のために遠隔操縦が期待されているが、遠隔地で操縦するオペレータの操作性向上のために、現場を映し出す高精細な映像や工事に必要な施工管理情報などの大容量データを高速・低遅延で伝送する必要があり、高速・大容量、低遅延の特長を持つ5Gの活用が検討されている。

実験は、1人のオペレータが工程ごとに異なる複数の建設機械を1台の遠隔操縦席で操縦できる装置の導入と、専用回線ではなく既存の5Gの一般回線を用いた遠隔操縦の実現を特長としている。
無線LAN等を使用した遠隔施工の構成による結果を比較することで、5Gの有効性を検証する。
いずれの構成においても、各機器の設置には電波法に基づく申請やライセンスの取得を必要としない。

■無線LAN等を使用した遠隔施工
複数の建設機械を1台の遠隔操縦席で操縦できる装置の実証のため、無線LAN等を使用した遠隔施工の実証実験を行う。
実験では災害現場や山間地区などで、有線ケーブルが敷設できない施工を想定した。
(1)3台の建設機械(油圧ショベル、ブルドーザ、土工用振動ローラ)に前方映像用カメラ、車内用カメラ、全方位カメラを各1台ずつ設置。それぞれの建設機械のカメラ映像と遠隔操縦の信号 データは、日立建機日本が提供する「Solution Linkage® Wi-Fi」の無線LANを使って、現場に設置した無線機に伝送する。
(2)現場に設置した無線機から、直線距離で約3㎞離れた集合住宅の一室に設置した遠隔操縦席までを長距離高速無線でつなぎ、高精細なカメラ映像と遠隔操縦の信号データを伝送する。

■5Gを使用した遠隔施工
5Gの普及が見込まれる一般市街地での工事を想定して、5Gの一般回線を使用する。
期間は2021年2月26日~3月5日(予定)。
場所は広島県広島市西区 太田川放水路河川敷。

(1)3台の建設機械(油圧ショベル、ブルドーザ、土工用振動ローラ)に前方映像用カメラ、車内用カメラ、全方位カメラを各1台ずつ設置する。それぞれの建設機械のカメラ映像と遠隔操縦の信号データは、通信事業者が提供する「5G」を活用して現場と遠隔操縦席の間で伝送する。
(2)現場と、現場から直線距離で約3離㎞れたドコモ広島大手町ビルにある遠隔操縦席まで、5Gで高精細なカメラ映像と遠隔操縦の信号データが伝送される。
(3)さらに、5Gが持つ高速・大容量の特長を生かして、オペレータの操作性向上のため、操作補助の画像データも同時に伝送する。AR(Augmented Reality:拡張現実)技術により、地盤面とバケットの爪先位置をグリッドとしてカメラ映像に重ねて表示して、カメラ映像だけでは補うことができない奥行情報をオペレータに提供し、施工の効率化を図る。また、3次元設計データのAR映像を遠隔操縦モニターに表示することも可能なため、さらなる施工の効率化につながる。




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