日立製作所
Kyoto Roboticsを買収!
日立製作所は、このほど知能ロボットシステム開発のスタートアップ企業であるKyoto Robotics(キョウトロボティクス)株式会社(代表取締役社長:徐剛氏)の全発行済株式総数の約96%を取得し、子会社化した。
日立グループはKyoto Roboticsの買収により、ロボットの3次元ビジョンおよびAIを活用した制御システムといった高度な独自技術を獲得することで、ロジスティクスおよびFA分野における自動化ライン全体のロボットSI(システム・インテグレーション)をワンストップかつスピーディーに提供することが可能になる。
さらに、ロボットSIを核に現場から経営までをデジタル技術でつなぎ全体最適化するトータルシームレスソリューションを実現し、顧客の事業価値の向上に貢献する。

近年、ロジスティクス・製造分野では、少子高齢化や生産年齢人口の減少に伴う労働力不足やデジタル技術の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により、自動化へのニーズが急激に高まっており、デジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが加速している。
特に、昨今のeコマースの需要の急拡大に伴い、物資を保管しタイムリーに消費者に配送する機能を担いロジスティクスの要となる物流センターでは、3密回避による従業員の安全性確保と、ロボットやデジタル技術を活用したさらなる高度化が求められている。

Kyoto Roboticsは、2000年の創業以来、ロジスティクス・製造現場の完全自動化をめざして、人間と同じように物体を3次元ビジョンで「認識」し、AIを活用した制御システムで「考えて、運ぶ」ティーチングレス・マスターレスの知能ロボットシステムの開発を行ってきたスタートアップ企業。知能ロボットを支える独自開発技術として、「目」の役割をする高度な画像処理技術をベースとした3次元ビジョンシステムは、99.99%の物体認識率を誇り、「脳」の役割をする高精度な積み付けアルゴリズムやモーションプランニングのAI技術は、さまざまな荷姿や積載状態に対応したロボット制御を可能にする。
こうした高い技術開発力から、幅広いロボットメーカーとのパートナーシップを有し、ロジスティクス・製造現場において、多種多様な形状・質量の対象物を扱うことからロボットによる完全自動化が難しいデパレタイジング作業を中心に、国内で400台以上の納入実績がある。

一方、日立の重点投資分野のひとつであるインダストリーセクターでは、プロダクト、OT、ITを併せ持つ強みを生かし、Lumada(データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速する技術)を活用して現場と経営、サプライチェーン間にある“際”の課題をデジタル技術で解決し、新しい事業価値を創出するトータルシームレスソリューションをグローバルに展開していくことを基本方針として掲げている。
こうした中、製造・ロジスティクス分野において、ロボットを活用した現場の自動化ニーズの高まりに加え、現場の膨大なデータが集まるロボットSI領域は、経営と現場をつなぎ全体最適化を実現するうえで核となることから、2019年に日立が米国のJRオートメ
ーション社を、株式会社日立産機システムが日本の株式会社ケーイーシーを買収し、グローバルに拡大・強化している。

今回、日立は、Kyoto Roboticsの買収により高度な知能ロボットシステムの技術・ノウハウを獲得することにより、ロジスティクス・FA分野の自動化ライン全体に対してロボットSIをワンストップかつスピーディーに提供可能となり、日立グループが提供するロボットSIのさらなる高付加価値化か図れる。
具体的には、物流センターにおいて、人出荷時のデパレタイズとパレタイズの自動化にKyoto Roboticsの知能ロボットシステムを適用したロボットSIを提供するとともに、株式会社日立インダストリアルプロダクツ製の小型無人搬送ロボット「Racrew」や搬送設備も含めて自動化ラインをトータルで提供していく。
さらにこれらを倉庫制御システム(WCS)や倉庫管理システム(WMS)と連係させることで、プロダクト、OT、ITを組み合わせた、現場から経営までが一貫してつながる物流センターの高度化ソリューションを提供していく。
また、FA向けには、日立グループが提供するロボットSIに、Kyoto Roboticsの知能ロボットシステムを組み合わせた自動化ラインを提供していく。

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