牧野フライス製作所は、自社開発の製造支援モバイルロボット「iAssist」を安定的、効率的に運用するため、厚木事業所内に5Gネットワークを構築する。
通信キャリアKDDIが提供する5Gサービス「KDDI5G」とAmazon Web Services(AWS)が提供するAWS Wavelength(※1)を利用することで、iAssistに求められる先進的な超低遅延アプリケーションを実現するだけでなく、5Gに必要な設備を自社で用意する「ローカル5G」と比較して大幅に高いコストパフォーマンスを達成する。

5Gネットワーク構成は、12月からiAssistの運用環境をAWS Wavelength上に構築し、マシニングセンタの連続稼働を実現するiAssistによる「工具搬送自動化」、ユニット自動組立ロボットへの部品入庫、完成品払出しをiAssist で自動化した「ユニット組立自動化システム」、iAssistの稼働状況を5G対応のiPhoneでモニターする「iAssist運用管理システム」の３つのソリューションを開発する。
通信キャリアが提供する5Gサービスとクラウドサービスを組合わせた仕組みを活用することで、開発した各ソリューションをユーザーへ安価に提供できるようになる。

ローカル5Gでは2021年7月現在、iPhoneはじめスマートフォンが接続できない。
KDDI5Gでは複数の5G対応スマートフォンが利用できるのもローカル5Gに対して有利な点になっている。
iPhoneはiAssist運用管理だけでなく、現在工場内で使われているPHSの後継として電話で使用する。
構築当初、5GはNSA(Non Stand Alone)と言う4Gの基地局を制御用に、5Gの基地局をデータ送受に使う方式。
4G基地局は5Gの制御だけでなくVoLTEによる高品質な電話に活用する。
5Gは2022年にSA(Stand Alone)サービスが始まると言われているが、SAになっても4G基地局は電話で継続利用する。
また5G基地局はSAでも同じ設備を使用する。
同社は自社内での5GネットワークによるiAssistの運用実績を積んだ後、個客のiAssist運用に適用する計画。
安価で先進的なサービスを提供できるよう、さらなるソリューションの充実と運用効率化を図っていく。

(注1)AWS Wavelength
KDDI5G網内に構築したAWSのインフラストラクチャ。iAssistなどのIoTデバイスがインターネットを介さずKDDI5G網から直接AWS Wavelength上の仮想サーバにアクセスできるため、超低遅延が実現できる。