パナソニック インダストリーズ
「ZNR高エネルギーバリスタ」製品化
パナソニック インダストリー社は、自動車のロードダンプサージ(※1)からECU(Electronic Control Unit)を保護する「ZNR(※2)高エネルギーバリスタ(※3)」を製品化した。同社は2022年3月より量産を開始する。

環境意識、安全意識の高まりから、2輪車を含む自動車の電子化・電動化が加速、搭載されるECUの数が増加している。
また、エンジン等の発熱部近傍への搭載も増加しており、ロードダンプサージ保護用デバイスの耐熱性への要求が高まっている。
同社は1968年、世界初の「ZnOバリスタ(酸化亜鉛バリスタ)」の開発実用化に成功。以来、長年培ってきたバリスタ技術を生かし、ロードダンプサージ対策用バリスタの耐熱性向上に努め、このほど、車載でより広範囲な使用用途に対応できる「ZNRo高エネルギーバリスタ」を製品化した。

同製品は独自構造により、たわみ強度と業界最高レベルの耐熱温度150℃を両立したほか、優れた製品特性(耐ロードダンプサージ性能制限電圧)で車載ECUをサージから保護。小型化と軽量化の実現で、省スペース化、環境負荷低減に貢献する。

主な用途としては、車載ECU等のロードダンプサージ保護(ライティング、エンジン制御、電子メーターのECU及びUSBチャージャー等)。

同製品は、独自構造により、たわみ強度と業界最高レベルの耐熱温度150℃を両立。
車載用途では、エンジン等の発熱部近傍へのECUの搭載数増加に伴い、より高耐熱なバリスタの要求が高まっている。しかし、従来のバリスタでは、樹脂モールド構造によって基板のたわみ応力に対しては強いものの、部品単体での温度変化による急激な熱応力に弱く、使用温度範囲を-40℃~125℃に制限する必要があった。
同社は、各種高耐熱デバイスで蓄積した材料設計および構造設計技術を応用し、温度変化による応力を大幅に低減し、業界最高レベルの使用温度範囲-55℃~150℃を実現した(同社従来品:-40℃~125℃)。

同製品は、優れた製品特性(耐ロードダンプサージ性能制限電圧(※4))で車載ECUをサージから保護。
車載ロードダンプサージに関する国際規格lS016750-2やJASOD 001-94A種A-1(※5)に対応する耐ロードダンプサージ性能を有し、業界最小の制限電圧35Vmax.の実現で、車載ECUのサージからの優れた保護性能を提供する。
さらに小型化と軽量化の実現で、省スペース化、環境負荷を低減する。
6.4㎜(W)×8.0㎜(L)×5.5㎜(H)と小型で、同等性能のツェナーダイオード(※6)に比べ、実装面積、重量を1/2以下に抑えることができ、省スペース化、重量低減が図れ、環境負荷物質使用量の削減に寄与する。

■用語の解説
※1:ロードダンプサージ
自動車のエンジン動作時にオルタネータがバッテリーを充電している状態で、バッテリーへの接続が途絶えた時に発生するサージ。
※2:ZNR
ZNRは、Panasonicの登録商標名。酸化亜鉛を主原料とした印加電圧によって抵抗値が変化する電圧依存性セラミック抵抗器(バリスタ)。2018年電気技術顕彰「でんきの礎」(電気学会)受賞している。
※3:バリスタ
非直線性抵抗素子の意味であり、名称はvariable resistorに由来。1968年に同社が開発実用化に成功した世界初の「ZnOバリスタ(酸化亜鉛バリスタ)」は、雷サージなどの過電圧対策技術に革命を起こし、高度情報社会とエネルギー社会の発展に貢献。
※4:制限電圧
サージ電圧が印加された時、バリスタによって抑制される電圧。標準的なインパルス電流波形(8/20 US)を印加して、バリスタの端子間電圧を求める。
※5:JASO D 001-94 A種A-1
(社)自動車技術協会が制定した「自動車電子機器の環境試験方法通則」に規定されている12V系の過渡電圧試験。2010年3月に廃止。
※6:ツェナーダイオード
ダイオードの一種である半導体素子。別名を定電圧ダイオードとも言う。サージやノイズ保護にも使われる。

■パナソニック(株)インダストリー社
https://www.panasonic.com/jp/corporate/industry.html
※写真提供:パナソニック

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