HMSインダストリアルネットワークス
産業用ネットワーク市場を調査・分析
HMSインダストリアルネットワークスは、グローバルなFA分野における新規設置ノード数に焦点を置いた産業用ネットワーク市場の今年の分析結果を発表した。
同社は毎年、産業用ネットワーク市場を分析し、ファクトリーオートメーション(FA)分野で新規設置されたノードの分布を推計している。今年の調査では、産業用ネットワーク市場は2022年に8%の成長が見込まれることがわかった。産業用Ethernetは今なお最も高い成長率を示しており、新規設置の全ノードの66%(昨年65%)を占める。フィールドバスは27%(同28%)となる一方、ワイヤレスは7%の市場シェアを保っている。PROFINETとEtherNet/IPの市場シェアは17%とネットワークランキングの首位にあるが、これにEtherCATが11%と急速に迫っている。

産業用Ethernetは10%の成長率で市場拡大が続いている。
現在、産業用EthernetはFA分野の新規設置ノードにおいて、グローバル市場で66%を占める。EtherNet/IPとPROFINETが市場シェア17%でトップに立っているが、EtherCATが大きな飛躍を遂げ、初めて2桁となる11%の市場シェアに達した。
さらにModbus-TCPも健闘し、市場シェア6%へと成長した。

フィールドバスは昨年の28%に対し、本年は27%の市場シェアになったが、その裏には興味深い事実がある。
HMSの分析によれば、市場シェア1%を失ったにもかかわらず、フィールドバスの設置ノードの実数は、数年にわたる減少傾向を覆して2022年には前年比で4%の増加を予測している。その背景として、新型コロナの影響や部品サプライチェーンの問題といった懸念材料があるという不確かな状況では、それぞれの工場が実績ある産業用ネットワークソリューションを望むという事実があるものと考えられる。なかでもPROFIBUSが市場シェア7%と最も多く設置されたフィールドバスであり、これにModbus RTUが5%、CC-Linkが4%で続く。興味深いのは、最新の工場においてModbus技術のTCPとRTUが広く利用される傾向も続いており、両者を合わせて2022年には11%の市場シェアを獲得した。

またワイヤレスは、ネットワーク市場全体の成長率と同じ8%で伸びており、7%の市場シェアを維持している。その典型的なユースケースとしては、配線の置換え用途やワイヤレスな機械アクセス、モバイル型産業機器への接続などが挙げられる。さらにワイヤレス市場には、次世代FA設備における5Gの導入とその影響も控えている。

HMS関係者によれば、製造業における生産性と持続可能性の目標を達成するうえで、産業用ネットワークの接続性がカギとなるのは間違いなく、それが産業用ネットワーク関連市場に見られる成長の主要なけん引力になっている。各々の工場では、生産性と持続可能性のみならず、品質や柔軟性、サイバーセキュリティの最適化に絶えず取り組んでいる。そしてこれを実現するには信頼できる産業用ネットワークの構築が不可欠であることが認識されていることを指摘する。

さらに地域別では、欧州や中東ではEtherNet/IPとPROFINETがリードしており、これにPROFIBUSとEtherCATが続く。そのほか普及しているネットワークにModbus(RTU/TCP)とEthernet POWERLINKがある。
米国市場ではEtherNet/IPが優勢であるものの、EtherCATが力強く成長して市場シェアを獲得している。
一方、細分化したアジア市場はPROFINETがリードし、これにEtherNet/IPが続くが、その強力なライバルとしてCCLink/CC-Link IE Field、EtherCAT、PROFIBUS、Modbus(RTU/TCP)が追っている。

※調査及び分析結果について
この調査には、FA分野で新規設置されたノード数に基づいたHMSの推計が含まれている。また、産業用フィールドネットワークに接続された機械あるいはデバイスを1ノードとした。ここで紹介した数値は、業界他社による認識に加え、HMS独自の販売統計情報と市場全体の見通しを踏まえたHMSの総合的な見解。


(※資料提供:HMSインダストリアルネットワークス)

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