川崎重工業
「シップ・オブ・ザ・イヤー2021」受賞
川崎重工業の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が、日本船舶海洋工学会主催の第32回シップ・オブ・ザ・イヤーにおいて「シップ・オブ・ザ・イヤー2021」を受賞した。
同賞は、毎年日本で建造された船舶の中から、とくに技術的・芸術的・社会的に優れた船に与えられる。

同社が建造した「すいそ ふろんてぃあ」は、技術研究組合 CO₂フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)による国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」で実施した、褐炭由来の水素を液化水素運搬船で日豪間を海上輸送・荷役する実証試験に用いられ、2021年12月に日本を出港、2022年1月に豪州に到着、褐炭から製造した水素を積荷し、2022年2月に日本に帰港した。

今回の受賞は、燃焼時にCO₂を排出しない次世代エネルギーとして期待される水素を、-253℃で液化し気体の1/800の体積にして運ぶ液化水素運搬船のプロトタイプとして世界に先駆けて開発・建造された船である点、ならびに、豪州からの水素の運搬に成功しており、今後の大型運搬船への発展が期待される点が評価され、審査委員会では圧倒的多数で大賞に推薦された。

この「すいそ ふろんてぃあ」の開発を通じて得た液化水素のハンドリング、リスクアセスメント、安全対策などの開発設計技術は、現在取り組んでいる水素の大量輸送を実現するための船「16万㎥型液化水素運搬船」の開発にも活かされており、2022年4月に日本海事協会より基本設計承認を取得した。

同社は、天然ガスや石油のように、水素が当たり前に使われる未来を実現すべく、「すいそ ふろんてぃあ」の開発で培った技術やノウハウを活かして、さまざまな企業と協力して次世代のエネルギーである水素を「つくる、はこぶ・ためる、つかう」サプライチェーンを構築する。



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