三菱電機
16W GaN電力増幅器モジュールのサンプル提供開始
三菱電機株式会社は、第5世代移動通信システム(5G)のmassive MIMO(※1)基地局用GaN(※2)電力増幅器モジュールの新製品として、「平均出力電力16W」製品のサンプル提供を6月11日に開始する。5Gが都市圏から周辺都市に普及拡大するにあたり、敷設増加が見込まれる32T32R massive MIMOアンテナ(※3)に適した本製品をラインアップすることで、5G massive MIMO基地局の製造コスト低減や低消費電力化、通信距離の伸長に貢献する。
本製品は「IMS(IEEE MTT-S International Microwave Symposium)2024」(6月18日~20日、アメリカ合衆国・ワシントンDC)に出展する。

世界各国で普及が進む5Gでは、高速かつ大容量の通信を実現するmassive MIMO基地局の敷設が主に都市圏で進んでいる。massive MIMO基地局には多素子アンテナを用いるため、送信信号を増幅する多数の電力増幅器の搭載が必要であることから、低消費電力化や製造コスト低減の実現に向け、電力増幅器の高効率化やモジュール化の市場ニーズが高まっている。
また、5Gの信号品質を満足するための低歪特性(※4)を実現しながら各国で異なる周波数帯域に対応する広帯域化も求められている。
さらに今後は、5Gが都市圏から周辺都市に普及拡大していくにあたり、massive MIMO基地局には通信距離の伸長や低コスト化が求められ、電力増幅器にも更なる高出力化が求められている。

同社は、5G基地局の64T64R massive MIMOアンテナ(※5)に適した平均出力電力8W(39dBm)で動作する3.4~3.8GHz帯の「GaN電力増幅器モジュール」を2023年9月にサンプル提供を開始している。
今回、32T32R massive MIMOアンテナに適した平均出力電力16W(42dBm)「5G massive MIMO基地局用GaN電力増幅器モジュール」を新たにラインアップし、5G Massive MIMO基地局の電力増幅器モジュールの使用数削減による基地局の製造コスト低減や通信距離の伸長に貢献する。
また、高効率化に有利なGaN HEMT(※6)を搭載し、同社独自の回路技術を適用することで、3.3~3.8GHz帯(500MHz帯域)の広い周波数帯域で電力付加効率40%の低歪特性を実現し、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献する。
さらに、同社独自の高密度実装技術により、電力増幅器をモジュール化することで、基地局の回路設計負荷軽減や製造コスト削減にも貢献する。

●用語の補足
※1:MIMO(Multiple Input Multiple Output)
送信機と受信機の双方で複数のアンテナを用いて、通信速度や通信品質を向上させる無線通信技術。
※2:Gallium Nitride(窒化ガリウム)
※3:32個の送/受信機を用いたmassive MIMOアンテナ
※4:電力増幅器から生じる歪が大きいと、使用周波数帯の通信品質だけでなく、隣接周波数帯の通信品質も劣化させるため、3GPP(Third Generation Partnership Project)で定められた規格を満足する歪特性が求められる。
※5:64個の送/受信機で構成されたmassive MIMOアンテナ
※6:High Electron Mobility Transistor(高電子移動度トランジスタ)

(※資料提供:三菱電機)


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