東洋炭素
オイル焼入れ用C/Cコンポジット開発!
東洋炭素は、 油焼入れ時の油の浸透が非常に少ない炭素繊維強化炭素複合材料(※C/C複合材料)を開発した。
同素材は、機械的強度の高い炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材料)で、一般的な工業用炉と環境/エネルギー分野を含む幅広い産業用途に使用できる。
新しいC/C複合材料は、熱処理プロセスでの油焼入れ中のほとんどの油の浸透を防ぎ、品質の向上と環境負荷の軽減に貢献する。
同社は、サンプル評価を含めた素材の展開を加速させ、1年以内の商品化を目指していく。

従来のC/C複合材料は、軽量、高い機械的強度、および高い弾性を特徴としている。
これらのC/C複合材料で作られた熱処理ジグは、金属ジグに比べて扱いやすく、変形しにくいという利点が利用されるようになっている。
熱処理用途では、ワークピース(金属製品など)は、約900℃に加熱して急冷した後、急冷して硬化させることがよくある。
典型的な方法には、ガス(ガス焼入れ)またはオイル(油焼入れ)を使用した急冷が含まれる。ただし、油焼入れ時には油がC/C複合材に浸透しやすく、作業環境や製品品質に悪影響を及ぼし、残油によるワークや煤の汚れが残っていた。

同社は、従来の成形技術を向上させ、マイクロスケールの開気孔を制御することにより、機械的強度が高く、オイル浸透が非常に少なく、酸化消費量が少ない新しいC/C複合材料の開発に成功。
新しいC/C複合材料で作られた熱処理ジグは、油焼入れ中の実質的にすべての油の浸透を防ぎ、油焼入れ後の焼き戻しおよびその後の焼入れプロセス中に発生する煤を低減する。その結果、作業環境やワークの品質向上が期待できる。

さらに、C/C複合材で作られた熱処理治具は、酸化消費量が少ないためライフサイクルが長く、他の冷却方法(ガス焼入れなど)と併用することでコスト削減に大きく貢献する。

生産は、琢磨事業部(香川県三豊市)で行い、当面年間2トンを予定。量産開始は2021年7月(サンプル配布開始:2020年10月)を予定している。、
同社では、将来的に一般的な産業用途だけでなく、熱処理用途にも新素材の使用を拡大していく。

※C/C複合材料:炭素繊維強化プラスチックを高温で焼成・熱処理した炭化プラスチックの複合材料。
※オープンポア:オブジェクトに含まれ、外部に露出しているマイクロスケールの空のスペース(ポア)。
※油浸入:100℃に加熱した焼入れ油にサンプルを浸し、減圧下で30分間保持し、取り出し、炭化水素溶剤で表面の油を洗い流し、風乾して秤量し、質量をテスト前の質量と比較する。

■東洋炭素HP https://www.toyotanso.co.jp/

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