三菱マテリアル
車載用小型端子向け銅合金「MSP®5」本格生産開始!
三菱マテリアルは、車載用小型端子およびプレスフィット端子に要求される優れた特性を備えた独自のCu-Mg系固溶強化型銅合金「MSP®5」の本格生産を開始した。

「CASE」に代表される、自動車の自動運転化や電装化などの進展に伴い、車載用端子にはさらなる小型化が求められている。
また、製造工程の簡素化や環境負荷の低減の点から、はんだ付けを必要としないプレスフィット端子の需要が日本国内でも拡大している。
こうした自動車の電装部品に使われる小型端子用合金材料には、高い強度、導電性、耐応力緩和特性(ばねの熱に対するへたりにくさ)に加え、端子への成形時(特に箱形)に割れや破断が生じにくい、優れた成形性が求められている。
三菱マテリアルは、これまで培ってきた独自の銅加工技術を活かし、より個客ニーズに合致した製品を市場導入するため、営業・開発・研究所が一体となって製品化を進めてきた。その結果、2015年に、優れた強度、導電性、耐応力緩和特性を有し、成形性にも優れた「MSP®5」を開発し、これまでサンプル提供などを通じ小型端子およびプレスフィット端子用途を中心に多くのユーザーよりMSP®5の高い性能と信頼性の評価が得られたことから本格生産を開始した。

「MSP®5」は、高い強度(0.2%耐力(小型端子ばね形成方向)はSH質別で700MPa以上)と高い導電率(43%IACS)を有し、銅合金最高水準の強度-導電率バランスを有している。
また、耐応力緩和特性にも優れ(150℃、1000hrで残留応力率(初期に付加した応力が加熱長時間保持後に残留する割合)80%以上)、小型端子に非常に適した特性を有するなど、材料特性に優れている。

さらに、端子の箱曲げ成形がしやすい性質(最小曲げ半径 R/t=0(R:曲げ半径、t:板厚)の曲げ性)を有し、小型端子に適している。
また、固溶強化型特有の優れたプレス加工性(打抜き加工時の良好な寸法精度、バリの出にくさ)も兼ね備え、りん青銅の代替としても適している。
そのうえ、ヤング率も低水準(一般的な銅合金:約 130GPa、MSP®5:115GPa)であり、これにより、弾性変形領域が広くなり(荷重が加わっても元の形状に戻りやすくなり)、永久変形を抑制することができる。特に挿入後の反力で電気的接続信頼性を得る構造のプ
レスフィット端子に適しているなど、扱いやすさにも優れている。

このほか、MSP®5は固溶強化型銅合金であるため、複雑な熱処理を必要とする析出強化型銅合金などに比べ、シンプルな工程で製造することができるため、製造時のCO₂排出量を原理的に低く抑えられるなど、CO₂排出を低減し環境性能にも優れている。

同社は、Cu-Mg系高性能固溶強化型銅合金として1986年より車載向け端子、バスバー(電力の分配などに用いられる導体)やリレー(電流のON/OFFをコントロールするスイッチ)で長年好評を得ている「MSP®1」の製造販売を開始し、ユーザーニーズに合わせた製品開発を進めてきた。
「MSP®5」のほか、主に電気自動車に必要とされる高電圧・大電流用バスバー・高圧端子に最適な「MSP®8」と、近年MSPシリーズとしてラインアップを拡充し、車載用電子・電気機器用銅合金として多くのユーザーに採用されている。

三菱マテリアルグループは、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、持続可能な社会に貢献するリーディングカンパニー」となることをビジョンとしており、今後も、自動車などのさらなる電装化推進に貢献する技術や製品を開発、提供することで豊かな社会の構築に貢献していく。

■関連リリース(2015年3月19日)
マグネシウム(Mg)濃度が世界最高水準の銅合金「MSP®5」を開発。
https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2015/15-0319.html


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