神戸製鋼所
神鋼環境ソリューションとCO₂削減技術開発
神戸製鋼所および神鋼環境ソリューションは、このほど国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の『カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO₂ 排出削減・有効利用実用化技術開発』において「製鋼スラグを活用したCO₂ 固定化プロセスの開発」のテーマを提案し、採択された。事業期間は2021年度~2024年度。

鉄鋼スラグ(※1)は、鉄鋼製品の製造工程で発生する副産物で、土木や建築用資材向け製品などとして、ほぼ100%が有効活用されている。
また、環境負荷低減に資する製品として、その多くがグリーン購入法(※2)の公共工事における特定調達品目に指定されている。
この鉄鋼スラグには鉄鋼材料の不純物(P, Sなど)を除去するために必要なCaなどのアルカリ成分が含まれ、これらのアルカリ成分はCO₂ と反応しやすいことから、近年、鉄鋼スラグはCO₂ 固定化に有用な素材として注目されている。

鉄鋼スラグへの固定化技術においては、固定化後の生成物である炭酸塩の利用価値向上により、経済性を高めることが重要だが、但し、鉄鋼スラグにはアルカリ成分以外の不純物も含まれ、利用価値向上のためには炭酸塩の純度を高めることが課題となっていた。そこでKOBELCOグループでは環境負荷低減への更なる貢献を目指し、鉄鋼スラグの中でも、特に有用なアルカリ成分を含む製鋼スラグへのCO₂ 固定化技術の開発を進めている。
この課題解決に向けた技術開発では、「CO₂ 固定化プロセス要素技術開発」および「生成物有効利用方法の開発」の2項目をテーマに、研究開発に取り組んでいく。

CO₂ 固定化プロセス要素技術の開発では、スラグからのCa 抽出技術の開発、炭酸化技術の開発、溶媒循環技術の開発、全体プロセスの検討を行う。
また、生成物有効利用方法の開発では、Ca 抽出済スラグ利用方法の開発、炭酸塩利用方法の開発に取り組む。

KOBELCOグループでは、グリーン社会への貢献を目指し本年5月に公表した「中期経営計画(2021~2023年度)の中で、最重要課題の一つに「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げている。KOBELCOグループでは今後も、カーボンニュートラルに寄与する技術・製品・サービスを通して、CO₂ 排出削減に貢献する。

※1 鉄鋼スラグ
高炉スラグ(高炉水砕スラグ、高炉徐冷スラグ)、製鋼スラグ(転炉系スラグ、電気炉スラグ)の総称
※2 グリーン購入法。
環境負荷の低減に資する物品・役務について、公的部門における調達の推進・情報提供により、環境負荷の少ない持続可能な社会の構築を狙いとした法令。


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