三菱電機
北米向け72.5kV「三菱タンク形真空遮断器」発売
三菱電機は、電力会社の変電所などに設置される大電流遮断器の北米市場向け新製品として、温室効果ガスを使用しない環境に配慮した真空バルブによる電流遮断および高圧ドライエア(乾燥空気)絶縁方式を採用した72.5kV「三菱タンク形真空遮断器」を10月7日に発売した。

電力会社や鉄道会社などの変電所に設置され、落雷事故時などの際、瞬時に電力系統を遮断する遮断器においては、近年、環境負荷低減や保守点検作業の効率化へのニーズが高まっている。
米国カリフォルニア州では、各電力会社が温室効果の高いSF6ガス(六フッ化硫黄ガス)※1を使用しない真空遮断器の導入を検討しており、今後、他州でもSF6ガスフリー化の動きが広がっていくと想定される。
同社は今回、半世紀以上にわたり技術を蓄積してきた高い信頼性を持つ同社の真空バルブと、SF6ガスに替えて乾燥空気を使用した高圧ドライエア絶縁方式を採用した、北米向け72.5kV「三菱タンク形真空遮断器」を開発し、環境負荷の低減と保守点検作業の効率化に貢献する。

「三菱タンク形真空遮断器」は、温室効果がCO₂の25,200倍※2と言われるSF6ガスの代替として、絶縁媒体にドライエアを採用することで環境負荷低減に貢献する。
また、高圧ドライエア絶縁方式の採用により、遮断器から排出されるガスの記録・報告作業や廃棄時のガス回収作業が不要となるなど、ガス管理業務等の削減による保守点検作業の効率化に貢献する。北米市場で要求される寒冷地仕様(-40℃の環境下での運転)において必要だったSF6ガスの液化を防止する低温対策工事や保守作業が不要となる。
さらに、従来の複合絶縁方式※3に替わりドライエア採用による絶縁距離の短縮化で、タンクサイズの縮小化を実現。設置面積がコンパクトなSF6ガス使用の遮断器と同等の省スペース化を実現し、更新時の追加基礎工事を不要した。

同製品は、同社米国子会社のMitsubishi Electric Power Products, Inc.(三菱電機パワー・プロダクツ、本社:米国ペンシルバニア州ピッツバーグ市)で製造する。今後、製品ラインアップを拡充し、市場のニーズに応えるとともに、環境負荷のさらなる低減に貢献する。日本においては、温室効果ガス低減機器導入拡大に関する取り組みのためSF6代替ガス開閉装置の導入を掲げている関西電力送配電株式会社の長田野変電所(京都府福知山市)へ 2023年4月に納入を予定している。

※資料提供:三菱電機


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