神戸製鋼所
MIDREX Flex直接還元鉄プロセスが採用
神戸製鋼所は、100%子会社のMidrex Technologies, Inc(ミドレックス社)のMIDREX FlexTM直接還元鉄プロセス(※1)が、thyssenkrupp Steel Europe AG(thyssenkrupp社)のデュイスブルグ製鉄所で建設予定の水素還元鉄プラントに世界で初めて採用された。

同プラントでは、初期の段階では還元剤として天然ガスを利用するが、thyssenkrupp社が十分な水素を調達できるようになる見込みの2027年以降、最大で水素100%への移行を計画している。
MIDREX FlexTMは天然ガスから水素へと柔軟に還元剤を転換できるプロセスで、トランジション期間(段階的な二酸化炭素排出量の削減)にも対応可能とすることでカーボンニュートラルの実現に大きく貢献する。
同プラントの生産能力は年産250万トンで、ドイツ最大の直接還元鉄プラントとして、2026年末のプラント立ち上げを予定している。
同プラントの設計、機器供給、建設については、ミドレックス社がPaul Wurth S.A.(PW社)と共に実施する。
今回ミドレックス社が提供する直接還元技術とPW社の親会社であるSMS Groupの溶解炉により、thyssenkrupp社の既設高炉法と比較して年間350万トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減が可能となる。

MIDREX®プロセスは、世界の還元鉄生産量の約80%(天然ガスベースの直接還元鉄)を占める直接還元法のリーディングプロセス。同社は、天然ガスを改質したガス(CO+H2)を還元剤とするMIDREX NGTM(※2)、100%水素を還元剤とするMIDREX H2TM(※3)、そして今回採用された天然ガスを水素に柔軟に置き換えることが出来るMIDREX Flex™という3つのプロセスを保有しており、同社及びミドレックス社はこれらプロセスの提供を通じ、世界の鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取り組みに貢献し、持続可能な社会の実現に取り組んでいく。

■(※)の解説
※1:今回採用されたMIDREX FlexTMは、MIDREX NGTMの技術をベースに、還元に利用する天然ガスを最大100%まで柔軟に水素に置き換えることができるプロセスで、MIDREX NGTM直接還元鉄プラントに比べ、更なるCO₂排出量の削減が可能。
※2:従来の天然ガスベースのMIDREX NGTM直接還元鉄プラントは、世界で90基以上が稼働しており、天然ガスを改質した水素リッチガスを還元剤として用いることにより、従来の高炉法に比べ製鉄工程でのCO₂排出量を最大40%削減することが可能。
※3:100%水素を還元剤としたMIDREX H2TMは、ほぼCO₂排出量ゼロで還元鉄を生産することが可能。ミドレックス社はスウェーデンのH2グリーンスチール社向け世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を2022年に受注しており、2025年の生産開始を予定している。

■Midrex Technologies, Inc.概要
◇設立:1983年(買収)
◇所在地:米国ノースカロライナ州シャーロット市
◇代表者:社長・CEO Stephen Montague
■Paul Wurth S.A.概要
◇設立:1870年
◇所在地:ルクセンブルク ルクセンブルク市
◇代表者:CEO André Schneider

(※資料提供:神戸製鋼所)


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