三菱電機
5G massive MIMO基地局用 GaN電力増幅器モジュール
三菱電機は、第5世代移動通信システム(5G)の通信網拡大に対応するため、高周波デバイス「5G massive MIMO(※1)基地局用 GaN(※2)電力増幅器モジュール」のサンプル提供を9月21日に開始する。これにより、5Gmassive MIMO基地局の低消費電力化に貢献する。

世界各国で普及が進む5Gでは、高速かつ大容量の通信を実現するmassive MIMO基地局の敷設が主に都市圏で進んでいる。
massive MIMO基地局には多素子アンテナを用いるため、送信信号を増幅する多数の電力増幅器の搭載が必要となり、低消費電力化、製造コスト低減の実現に向け、電力増幅器の高効率化やモジュール化の市場ニーズが高まっている。

また、5Gの信号品質を満足するための低歪特性(※3)を実現しながら各国で異なる周波数帯域に対応する広帯域化も求められている。
同社は今回、5G massive MIMO基地局の市場ニーズに対応するため、64T64R massive MIMOアンテナ(※4)に適した平均出力電力 8W(39dBm)で動作する3.4~3.8GHz帯(400MHz帯域)の「5G massive MIMO基地局用GaN電力増幅器モジュール」のサンプル提供を開始する。
本製品は、高効率化に有利なGaN HEMT(※5)を搭載し、同社独自の回路技術を適用することで、400MHzの広い周波数帯域で電力付加効率43%以上と低歪特性を実現し、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献する。
また、同社独自の高密度実装技術により、電力増幅器をモジュール化することで、基地局の回路設計負荷軽減や製造コスト削減にも貢献する。

■新製品の特長
(1)400MHz 帯域で電力付加効率43%以上を実現し、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献
・エピタキシャル成長層(※6)の改良で、高効率動作と5Gの信号品質を満足する低歪特性を実現したGaN HEMTを開発
・GaN HEMTの出力寄生容量による帯域制限を緩和する同社独自の広帯域ドハティ回路(※7)設計技術の適用により、400MHz帯域で電力付加効率43%以上を実現し、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献。
(2)電力増幅器のモジュール化により、5G massive MIMO基地局の回路設計負荷軽減、製造コスト削減に貢献。
・同社独自の高密度実装技術による高効率動作に適したドハティ回路を内蔵した電力増幅器のモジュール化を実現。
・モジュール化により5G massive MIMO基地局を構成する部品点数の削減に貢献し、回路設計負荷の軽減や製造コストの削減が可能


■今後の予定・将来展望
今後は、世界各国・地域毎の使用周波数帯に沿った製品や32T32R アンテナなどに対応する高出力製品のラインアップ拡充を図り、5G massive MIMO基地局の更なる低消費電力化に貢献する。

■用語の補足
※1=MIMO:Multiple Input Multiple Output
送信機と受信機の双方で複数のアンテナを用いて、通信速度や通信品質を向上させる無線通信技術
※2=Gallium Nitride:窒化ガリウム
※3=電力増幅器から生じる歪が大きいと、使用される周波数帯の通信品質だけでなく、隣接した周波数帯の通信品質も劣化させるため、3GPP(Third Generation Partnership Project)で定められた規格を満足する歪特性が求められる。
※4=64個の送/受信機で構成されたmassive MIMOアンテナ。その他、32個の送/受信機を用いた32T32Rアンテナなどもある
※5=High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ
※6=結晶基板の上に結晶質の薄膜を成長させる技術によって作製された薄膜結晶成長層
※7=1936年にW.H.Dohertyによって考案された電力増幅器の高効率化回路技術
※8=Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment

(※資料提供:三菱電機)


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